犬の脳を調べたら「この感情」まで
犬の脳を調べたら「この感情」まで見分けていた
犬が人間の感情をどこまで理解しているのか——これは多くの飼い主にとって気になるテーマです。米国の研究チームが犬の脳をMRIでスキャンしたところ、これまで考えられていたよりもはるかに細かく、人間の顔の感情を見分けていることが分かりました。
研究の内容
この研究は国際学術誌『iScience』に掲載されたもので、2つの実験から構成されています。犬の脳は幸福な顔と無表情な顔だけでなく、恐怖と怒り、恐れと悲しみといった、より細かい感情の違いにもそれぞれ異なる反応を示したとされています。
ただし、この結果だけで「犬が人間の心を読んでいる」と結論づけることはできません。アリゾナ州立大学・犬科学協力研究所の設立者であるクライブ・ウィン博士は、「犬の脳が様々な感情を表す人間の顔を区別できるということであって、それを人間のように認識し処理していることを示すものではない」と指摘しています。また、今回の研究の対象は人との関わりに特に敏感なボーダーコリーが中心で、他の犬種でも同様の反応が見られるかは今後の研究課題とされています。
犬は何で感情の変化に気づくのか
人間は相手の感情を知ろうとするとき、まず顔を見ますが、犬は少し違った方法も使っているようです。
- 体全体の動き:2021年に『Animal Cognition』で発表された研究によると、犬は顔だけでなく体全体の動きにも多くの注意を払っています。落ち込んでいるときの肩の下がり方や動作の遅さ、怒っているときの体の硬直や大きな動作などが、犬にとって重要なサインになり得るとされています。
- 声:2016年の研究では、犬が人の表情と声に含まれる感情情報を結び付けて理解できるという結果が示されています。声の高さや速さ、抑揚の違いが、愛犬にとって重要な情報になっている可能性があります。
- 匂い:顔も体の動きも見えない状況でも、犬には強力な情報源があります。それが匂いです。2022年の研究では、同じ人物から普段時とストレスを受けた直後にそれぞれ採取した呼吸や汗の匂いを犬に嗅がせたところ、犬はその2つを区別できたと報告されています。
結論:完全には読めなくても、多くを察知している
犬が人間の感情そのものをどこまで理解しているかは、まだ証明されていません。しかし、飼い主の様子がいつもと違うことに気づくための手がかりは、顔・声・歩き方・体の動き・匂いなど、実に多様です。
犬が飼い主の心をすべて読み取ることはできなくても、「いつもと少し違う」という事実だけは、私たちが思っている以上に多様なシグナルを通じて察知しているのかもしれません。
本記事は研究報告の紹介を目的としたものであり、すべての犬に当てはまることを保証するものではありません。犬種や個体差によって反応は異なる可能性があります。