カリブ海の風に吹かれて読んでみたら、
カリブ海の風に吹かれて―『Havana Split Vol.1』を読んでみたら、まさかのノワールだった。

ねえ、もし今ちょっと現実から離れて、南国の熱気とスパイスの効いたストーリーに浸りたい気分なら、『Havana Split Vol.1 – Welcome to Cuba』、ちょっとおすすめかも。
舞台は1950年代のキューバ。太陽が照りつけるハバナの街に、元CIAの男、キューバ系アメリカ人の若い女性、そしていかにも怪しげな私立探偵が登場するんだけど――彼らがやろうとしてるのは、なんと「スター女優の誘拐」。しかも理由が、野球の試合で負けてできた借金の返済っていう、なんともグダグダな始まりなの。

だけどね、ページをめくるごとに空気が変わっていく。実はこの裏で、あのフィデル・カストロが革命の準備を進めていて、国内外の権力者たちはピリピリ。表向きはどこか陽気でカラフルなこの島に、じわじわと不穏な空気がしのび寄ってくるの。
ただのクライムドラマじゃなくて、そこに「歴史」が絡んでくるのがこの作品の面白いところ。過去のキューバを舞台にしながらも、どこか現代的な空気をまとっていて、たとえば「誰を信じるべきか」とか「自由ってなんなの?」って、登場人物たちの選択を通して私たちにも問いかけてくる感じがする。

アートワークもとにかくカラフルで、なのに影の使い方が絶妙で、まさに「トロピカル・ノワール」って言いたくなる。楽園の顔をしたキューバに潜む暗さが、絵の雰囲気にもばっちり出てるのよね。
Vol.1だからまだ物語は序章にすぎないんだけど、それでもすでに波乱の予感たっぷり。CIAの男がなぜそこにいるのか、女優は本当にただの“スター”なのか、そしてあのフィデル・キャラがこれからどう動くのか…気になることだらけ!