なぜ、靴の中なのに靴下なのか。

「靴下」という言葉をよく考えてみると、「靴の下」と書くのに、実際には靴の中で履くものです。この違和感、気になりませんか?ここでは、「靴下」という名前の由来やその背景について説明します。
「靴下」という言葉の由来
「靴下」という言葉は、もともと靴の下に履くものという意味で使われていました。名前が付けられた当時の靴下は、現代のような「靴の中に履く」ものとは少し違う形をしていたのです。
古代の靴と靴下
日本では靴文化が普及する以前、草履や下駄などの履物が主流でした。これらの履物を履くとき、直接足を入れると擦れて痛むため、その保護として足袋(たび)や布を巻いたものが使われていました。
つまり、「靴下」とは靴の下に敷かれるようなイメージだったのです。
靴下が「中」で履かれるようになった背景
現在のような靴が日本で一般的になったのは、明治時代以降です。そのころ西洋の靴と一緒に靴下の文化も入ってきました。西洋では靴下(英語でsocks)は靴の中で履くものでしたが、日本では既に「靴下」という言葉が使われていたため、名称はそのまま受け継がれました。
• 明治時代以降、「足袋」から「靴下」へ役割が変化。
• 名前だけがそのまま残り、「靴下=靴の中で履くもの」という意味に変わった。
「靴の中下」とは呼ばない理由
もし名称を正確にするなら、「靴の中で履くもの」として「靴中(くつなか)」や「靴内(くつうち)」のように言い換えるべきかもしれません。しかし、日本語ではシンプルで覚えやすい表現が好まれるため、「靴下」という呼び方がそのまま定着しました。
さらに「靴の下」という表現は、語感的にすっきりしていて言いやすいため、長年親しまれてきたのです。
靴下以外の言い方もある?
実は、日本語以外でも靴下を「靴の中のもの」と明確に表現しているわけではありません。
• 英語の「socks」はラテン語の「soccus(薄いスリッパ)」が由来で、「靴」自体を指しているわけではありません。
• ドイツ語の「Socken」、フランス語の「chaussettes」も、直接「靴の中」を意味しているわけではありません。
つまり、靴下に関する名称はどこの国でも案外曖昧なのです。
「下」という言葉の文化的な意味
日本では「下」という言葉が「補助的なもの」「下支えするもの」を表す場合があります。
• 「肌着(はだぎ)」も身体の一番下に身に着けるものです。
• 「下駄(げた)」のように足の下に敷く履物もあります。
「靴下」は、「靴を下から支える布」というイメージだったとも考えられます。
「靴下」という名前は、もともと靴の下に敷く布を意味していましたが、靴文化の変化とともに役割が「靴の中で履くもの」に変化しました。それでも「靴下」というシンプルで覚えやすい名前が残ったのは、日本語の文化的な特徴によるものです。
次に靴下を履くとき、「どうしてこの名前なんだろう?」という素朴な疑問も、少し納得できるかもしれませんね!
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