なぜ、パンの「耳」って言うのか。
パンの端っこの硬い部分を「耳」と呼ぶのは、

言われてみると不思議ですよね。耳は頭についているものなのに、なぜパンの端が「耳」と呼ばれるようになったのでしょうか?ここではその由来や意味について解説します。
「耳」は端や縁を意味する言葉だった
実は、「耳」という言葉にはもともと「端(はし)」や「縁(ふち)」という意味があります。
和紙の「耳」
和紙を手作りするときにできる周囲のざらついた部分を「耳」と呼びます。これは紙の端を指している表現です。
器の「耳」
お椀や器についている取っ手の部分を「耳」と呼ぶことがあります。これも「端にある部分」を指しています。
このように、「耳」という言葉は古くから物の端っこや周囲の部分を表すために使われていました。パンの場合も、外側の部分(縁)が「耳」と呼ばれるようになったのです。
パンの「耳」と他の料理の共通点
日本語では、他の食べ物でも「耳」という表現を使うことがあります。
• 餃子の耳:餃子の皮を包んだ部分の縁を「耳」と呼ぶことがあります。
• そうめんの耳:そうめんを製造するときにできる端の切れ端部分が「耳そうめん」と呼ばれることがあります。
こうした例からもわかるように、「耳」という言葉は食べ物の端や縁を指すのにぴったりだったのでしょう。
パンが普及した明治時代に付いた名前
パンが日本に広く普及したのは明治時代以降です。その頃、パンの端の部分をどう表現するかを考えたときに、日本人になじみのある「耳」という言葉が選ばれたと考えられます。
当時の日本人にとって、パンの端は「何か特別な部分」という感覚がありました。硬くて歯ごたえがあり、中心部分とは異なる食感の特徴を持つこの部分に、「耳」という表現が自然に使われたのかもしれません。
耳が「聞こえる」パンの音?
もう一つの説として、パンを焼くときに耳の部分が最もカリカリになり、食べるときに「カリッ」という音が立つことから、「耳=音を感じる部分」との関連で名付けられた可能性もあります。
パンの耳が硬くて香ばしいのは、オーブンで直接焼かれる外側だからです。この食感や音を「耳」にたとえたと考えると、少しロマンチックな由来ともいえます。
英語では「crust」と呼ばれる
ちなみに、英語ではパンの耳を**crust(クラスト)**と呼びます。これは「外側の硬い部分」を意味する言葉です。英語の「crust」には「耳」のような比喩的な表現はなく、シンプルに外側を表しています。
パンの「耳」と呼ばれる理由は、日本語の「耳」という言葉が持つ「端」や「縁」という意味から来ていると考えられます。
パンの端がちょうど耳のようにパン全体を囲む部分であることや、その硬さや香ばしさが特別な特徴として認識されたことが、この名前の定着につながったのでしょう。
次にパンを食べるとき、「耳」に注目してその食感や味わいを再発見してみるのも面白いかもしれません!
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